亜子の心の世界14ふたりの亜子

公園に出かけた日以来、本当の亜子が時折現れるようになった。

一瞬で子供亜子に戻ることもあれば、2日くらい大人亜子の時もあった。

亜子、特に大人亜子がいちばん戸惑っていることはまず間違いないので、なるべく私たちは動揺しないようにしようと、お姉さん、お母さんと話し合った。

大人亜子はかつての亜子のままのような気もするし、少しだけ変わったような気もする。

お父さんの前で元に戻ったとき、嬉しさのあまり抱きついたお父さんに、やだ、気持ち悪いことしないでと言ったそうだが、かつての亜子であればぐっと堪えていただろうとお母さんは言っていた。

大人亜子は少しだけ、以前の亜子よりも良い意味で繊細さが無くなったというのか、遠慮が無くなったようだ。

病院の先生にも、子供亜子はずっといるかもしれないし、いつかいなくなるかもしれないと言われている。

ねぇ、ちー。子供亜子に、いなくなってくれるように説得した方がいい?24人の何とかって人も最終的には人格統一したんでしょう?

あーこの思うようにしていいよ。私は、あーこに、そしてもちろん子供亜子の方にも、無理して欲しくないんだ。子供亜子がやって来たのは、あーこがひとりで頑張りすぎたからだと思う。いい子にならなくちゃって

だって、私、頑張らなくちゃ、お姉ちゃんみたいになれないし、ちーだって私のこと嫌いになっちゃう

ならないよ

私は亜子を力強く抱きしめて言った。

あーこが子供亜子になっちゃっても、ちーもお姉さんもお母さんもお父さんも居なくならなかったでしょう?

亜子は私の腕の中で頷いた。

大人亜子も子供亜子も、ちーは大好き。だからあーこはそのままでいいんだよ。無理して子供亜子をどっかにやっちゃおうとしなくていい

亜子はゴシゴシと涙を拭って、

私も、いまの私がいい。ちーのことが大好きないまの私。せっかく、ちーのために何かしようとしていたのに、子供亜子がしゃしゃり出て邪魔される時もあって辛いけど

一方の亜子になっているときはもう一方の亜子の記憶はない。

大人亜子が私のために買った食べ物を子供亜子が食べてしまったり、子供亜子が大事にとって置いた何かを大人亜子がゴミだと思って捨ててしまうことはしょっちゅうだ。

子供亜子はともかく、大人亜子は自分の人格が二つあることを十分に理解していて、日に日に子供亜子に邪魔をされないように工夫をしている。

子供亜子はなかなか頭が回らないが、大人亜子の方が、子供亜子の気持ちを汲んで行動することはある。

それに子供亜子の方は、泣いて喚いても、私もお母さんもお姉さんも簡単になだめることができるので大した問題ではない。

いま、ウサタの隣で眠っている亜子は、指を咥えているので恐らく子供亜子だと思う。

どっちでもいいよね

私はウサタに囁いた。

どっちの亜子も見守っていこうね

ウサタはそんな風に思っているだろうと思った。