棚田と地すべり

 大分の田んぼに長い亀裂が入ったニュースは、世間の注目を集めている。私

も昨年の熊本地震活断層によるものだろうと思っていたのだが、テレビの解

説を聞いて驚いた。何と棚田の地すべりが原因というのだ。景観の美しさで人

々を魅了する棚田だが、その多くは地すべり地域につくられている。地すべり

は固い岩盤の上に軟らかい地層があるため起こる現象だが、地下水が豊富で土

も混ざるため土壌がいい。つまり、棚田は山間集落で主食を得るという目的だ

けでなく、米を作るのに条件がいいから開墾されたようだ。

 この話を聞いてすぐにピントきたのが、先月に取材で訪れた新潟県上越市

ここは地すべりの名所で、それをPRする「地すべりくん」というゆるキャラ

までつくられていた。ここにも棚田が広がっているが、地形的には同じ新潟県

の魚沼地方とあまり変わりがない。言うまでもなく魚沼産コシヒカリは日本を

代表するブランド米であり、それは気候だけでなく地形も関係していたのだ。

地すべり地域に棚田があれば、地形の変化にはすぐ気づくし、ダムのように水

をコントロールすることも可能。決して相性が悪いわけではない。

 では、どうして大分でああいう現象が起きたのか。ズバリ、耕作放棄地だか

ら。乾燥した田んぼが管理されないと、水を貯める層に亀裂が生じてしまう。

早くそれに気づけば対策もとれるが、放置すると雨が地下に浸透し、地すべり

を誘発してしまうのである。私も大分県の農村はけっこう歩いているが、宇佐

マチュピチュに代表されるように、地形の険しい田舎が多い。棚田も珍しく

ないので、亀裂ができてしまったのだろう。でも、山村の高齢化と後継者不足

はどの田舎でも抱えている問題だ。きちんと管理しないと、他の地域で同じ現

象が起きないとも限らない。

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