立ち入り禁止区域:初級編

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 河川敷そば鉄塔の上層部 夜であれば向こう岸まで渡された電線ケーブルが

 無機質だが壮大な存在感を以って迎えてくれる

 川の上流には高速道路の橋部分に当たる箇所が見え、車のライトと街灯の

 コントラストがいつか見た景色を二度見せられたかの様な錯覚を起こす

 登ったが最後同じ錆びかけた手すりを高低差20m弱、戻り降りなければならず

 最下部でも来た時と同じ様に侵入者返しの鉄条網を今度は反対に潜り抜けねば

 ならない 成功しても服はずたずた

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 高速道路下関係者用通路 問答無用で換気扇が回っており巻き込まれれば

 大怪我で済めば幸運な方 ただ動けなくなった場合携帯電話等持っていなければ

 ほぼアウト 心もとない歩行用鉄板の10m下は通常道路、その下は河川敷

 横は手摺なども無く足を踏み外せば10m落下、 追撃で十中八九

 走行車に追い打ちを喰らう

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 関係者以外立ち入り禁止マンション屋上、宣材看板の上端

 エマージェンシーが作動しないであろう場所からよじ登ったのちマンション内へ

 その後は普通に最上階へ。

 屋上へは各々行き方を選択し上り詰めたら宣材看板の骨組みを伝って移動し

 看板上部 出来れば端部が望ましい 都市にも依るが真っ暗な夜闇の中

 街の光が眼下煌々と輝いており左手に持った発泡酒など飲みながら

 友とひと時を過ごすのにはちょうど良い。

 足を滑らせれば言わずもがな 屋上へ上る際にも注意が必要

 マンション内で職質された場合7割を超える確率で拘留される為

 自然体での振る舞いを心掛けて置くこと。

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 建造中駅中継橋、下層マジで何に使うのかわかんない通路

 片道約100mの通路 横、縦、共に60cm程しかない為、

 匍匐前進を強要される

 自重を支えているのは問答無用で鉄板一枚 5mずつの鉄板がそれぞれ

 それがどの様に溶接されているのかすら分からない 隙間と呼ぶにはあまりに大きい

 鉄板と鉄板の合間から下が見える およそ30m。 落ちて助かることはないだろう

 片道100m 匍匐前進で何歩分? 一歩一歩、空中にぶらさがるただ一枚の

 鉄板の上を匍匐前進で前を目指す 5mが遠い 剥がれ落ちた場合前か もしくは

 後ろか 鉄板のどちらにしがみつこうと考えながら進む

 5mの鉄板真ん中2,5mに来る時が一番怖い 手を伸ばしても前にも後ろにも

 届かないかも知れない。

 考えながら進む 時刻は朝5:45 中ほどまで進んだ所で本当に後悔した

 行くのも戻るのも当分だ 体勢を変えるのもおそろしい そのまま直進するしかない

 どれほど進んだ? 緊張でわからない 一つ分かるのはこれが夢ではない事

 溶接の一つ、二つがずれて溶ければそれでおしまいだ

 下方に広がる光景にめまいがする

 5mづつすすむ 溶接は大丈夫か よしんば外れても後ろ または前方の鉄板に

 しがみつく ただそれだけ考えながら進み ついに15分程を掛けて抜けた 

 どれほど長く感じた事か

 「 ああぁあ −− ! 」

 叫んだ

 そこは手すりが設けられた場所だった しがみつきながら息を吐くと実に20m下から

 『 おぉお −−−−−−いぃ 』

 僕を呼ぶ声

 「 は −−−−ぁぁーーーーー あい 」

 返してみる

 『 そこに居るとあぶねぇぞぉ −−−−−−−! 』

 「 わかりましたぁーぁーーーーーぁーー ! 」

 1時間後警察に叱られながらなぜか裸足だった僕にさっきの工事のオジさんが

 スリッパをもって来てくれて それをありがたくコンクリートの道路の上で履いた

 「 ありがとう 」

 『 いいけどなお前さんどこから這入って来たの? 』

 「 分かんない 』

 『 分かんないか そうか −− 』

 この人がさっきの?” 『ああそうらしい』 無事ぽいですね” 『だな』

 警察署で事情聴取されその最中にとても納得行かなかい事があったので署内で

 大声を出し持っていたジュースを投げて当たり散らすようにヒステリーを起こしたが

 取り押さえられる様な事はなかった ほどなく解放され 朝の下を帰った